韓国ドラマは基本、歴史ものを見ることが多い私が、珍しく現代ものの、しかもラブコメを見ました。
ということで、感想です。
すごく波乱に富んだ物語で、とても面白かったです。
主人公のウンソン視点だと、いわゆるシンデレラストーリーなのですが、でも一方では相手役のファンの成長物語でもあるし、また一方ではウンソンを孫のように思うスクチャの自分の死後を見据えた物語でもあって、なんというかコメディタッチなのに、とても奥の深いドラマでした。
主人公のウンソンは、ある日突然父を失い、しかも継母からは自閉症の弟と共に家を追い出されてしまいます。
そんな中出会ったのが、大会社チンソン食品の社長、チャン・スクチャ。
スクチャは、孫のファンが他人に謝罪する方法すら知らない人間に育っていたことにショックを受け、孫への荒療治と自分自身の死後のことを考え、ウンソンに会社の経営権を含めた全財産を譲るという遺言状を新たに作ります。
……物語は、ウンソンやファンらが、この状況の中どんなふうに考え、どう動くかについて語られて行くわけですが、毎回とにかく目の離せない展開でした。
ちなみにこのドラマ、基本的にはほとんどの人物が善人で、歴史ドラマの時のような悪役集団は出て来ません。
唯一悪役なのが、ウンソンの継母ソンヒです。
ウンソンを追い出しただけじゃなく、彼女の自閉症の弟ウヌを孤児院へ捨てて来たり、大芝居を打って、ウンソンを窮地に追い込んだりと、まあ、いろいろと。
とはいえ、彼女もまた娘の幸せを願ってそういうことをしていた部分もあって、見ていてどうしてそんなふうに考え、行動してしまうんだろうと思った部分もありました。
殊に、お金に執着するあたりは――子供のころから極貧で、お金がなければ幸せではないという価値観を持ってしまっているっぽい感じではありましたけど、でも、もっと別の方法で幸福を求めてもいいんじゃないのかと、見ていて思いました。
かわいそうなのは、この母に半分はふり回された形のスンミです。
まあ、途中からはファンを逃さないために、母に協力してウンソンを追い詰める手助けをしていた彼女ですが、もともと孤独なタイプだっただけに、やはり辛かっただろうなと思います。
ただ、最後でこの親子がささやかなくらしながら、幸せそうにしていた姿にホッとしました。
あと、このドラマでは、登場人物たちがみんなそれぞれ幸せになって、めでたしめでたしな感じなんですが、ピョさんとヨンナンがくっつくのは当然としても、どうも途中から私がにらんでいたとおり? ジュンセとヘリもくっつきそうな感じ? で、よかったな~と思いました。
いや、だってジュンセめっちゃいい人ですしね。
やっぱ、こういう人には、幸せになってほしいですもの。
それと、最後まで見終わって思ったのが、スクチャの懐の広さというか、なんというかですね。
ヨンナンは彼女の息子の妻、つまり日本風に言うと嫁なんですよね。
でも、二人の間にはいわゆる「嫁と姑」のような確執も水くささも全然ないのです。
いや、ヨンナン自身も ピョさんが言っているとおり、単純で子供みたいなところのある可愛い女性で、スクチャのことを実の母のように思っている部分があるのですが。
それでも、最終話でピョさんが彼女を好きだと知って、スクチャは「これで自分が死んだあとのことを、何も心配せずにすむ」と、安心しているのです。
それは本当に、まるで実の娘に対するようで。
これは、ウンソンに対しても発揮されているし、会社の社員たちに対しても発揮されています。
彼女を見ていて私が思い出したのは、同じ韓国ドラマで見たキム・マンドクでした。
二人の相似に韓国では、彼女らのような人たちが、商売人の鑑というふうに思われているのかもしれないなあと思ったりしたものです。
ともあれ、ハラハラドキドキしつつも笑ったり感動したりできる、素敵なドラマでした。
最後まで見終わることができて、本当によかったです。