ドラマ『科捜研の女』1~6話 感想

今回は1年間続くことになった『科捜研の女』。
何話分かまとめてになると思いますが、ちょびちょびと感想を書いてみようかと思います。

ということで、今回は1話~6話までの分です。
まずざっくりとどんな事件だったかを並べてみます。

  • 1話 舞妓さん殺人事件
  • 2話 絵描き殺人事件
  • 3話 相馬くんが戻って来る話
  • 4話 絵本作家殺人事件
  • 5話 白人の焼死体事件
  • 6話 資産家老人殺人事件
どの話もなかなか凝った展開でした。
あと、どれもやるせないなあって思うものばかりでしたね。
1話にしても、助けるつもりで行った行動が結局被害者を死なせてしまう結果になっていたり、すでに死んでいる被害者に自分の姿を見られたと思った逃亡犯が首を絞めたりと、初っ端からこれ? と思うような、やるせない話でした。
2話目にしてもそうですね。
最後の最後に残した絵が渾身の作だったとか、やっぱりやるせない気分になりました。
この回は、私も接客業なので犯人の気持ちがわからなくもないんですが、かといって殺人はあかんやろと。しかも、なんか被害者に八つ当たりっぽいですよね。
SNSに「ダメな店員」って書いたのは、被害者ではないわけだし。
殺人までしてしまうほど追い詰められてたのなら、その前に少し仕事を休むとか転職するとかしてみてもよかったんじゃないのかって気がします。
同じ業種でも、店が違うと客層も全然違ってすごく楽になるってことが実際にあるので。
3話目は、犯人がわかった時には、驚きました。
ただ、この回は本当の黒幕は心理療法士の越田由美子ですか、彼女だった気がします。
ってか、この人、のちのちまた出て来るとかじゃないのかって気がしたんですが。
当人は「クライエントの望みをかなえた」的な感じですが、その「望み」の捉え方がちょっと怖いというか――フツーじゃない感じですよね。
しかし、久しぶりに帰国したのに、友人が殺されたりして相馬くんは可哀想でしたね。
まあ、科捜研で再登場っていうと、こんなもんだとは思いますが。

4話目は犯人についてはそれほど驚かなかったんですが、動機がなんなんだろうと思ったら、自分への献辞がないことだったとは。
それはでも、しょうがないんじゃないのかとは思いますけど。
作家に最初のインスピレーションを与え、書き続けようとする勇気を与えたのは、ペットシッターの稲葉の方なわけだし。
作家にとって、それがどれだけ大きなものだったかが、犯人にはわかってなかったのかもですね。
編集者はあくまで編集者であって、クリエイターではないですからね。
5話目は、なかなか重い話でした。
ベトナム戦争の後遺症に悩む人にとっては、今も戦争は終わってないんだなあと見ていて思いました。
あと、寺田農が約束を忘れていたのはしかたがないとしても、暇なんだったらちゃんと会えばよかったのに、とは思いました。
社長だからって威張ればいいってもんではないんじゃないかと。
直接的には放火犯があそこに火をつけなければ――とも思いましたがそれも……放火犯には人間を害する気持ちはなかったみたいですし(人がいないのを確認して火をつけたと供述してましたし)、もう本当にどうしようもない事件だったんだなあと感じました。

そして6話目。
資産家老人と結婚しては次々と殺して行く、悪魔と呼ばれる女が登場しました。
マリコさんとはこれ以上ないほど正反対の生き方をする女性で、だからこそ、マリコさんのことが気に入らなかったのかな~と見ていて思いました。
彼女にとっては、「美しい」ことは価値があって、それは男性に愛されたりお金を手にすることができたりするようなもので、それを存分に享受することで更に自分の価値は上がって行く――と考えていたんではないだろうか……と思うのですね。
周囲の怒りの声も、彼女にとっては「価値のない者たちが自分を嫉妬している」ようにしか見えてなかったのかも。
対してマリコさんは、同じように「美しい」にも関わらず、そのことにまったく価値を見出していない人です。
マリコさんにとっては科学で真実を証明することが一番で、「美しい」ことはどうでもいいわけです。美しさで男を手玉に取って愛情や金銭を享受しようなんてまったく思ってもいません。
それは、悪魔と呼ばれる彼女にとっては「宝の持ち腐れ」でしかないわけですよね。
マリコさんは単に自分の生き方を貫いているだけなんですが、彼女からしたら生き方を否定されたようにも感じたのかもしれません。
だから、「あんたみたいな女はブスだ」という、彼女にとっては最大の侮蔑の言葉を叩きつけた――と。
でもそれは、マリコさんの生き方を否定する言葉でもあったので、マリコさんの方も彼女に対して敵愾心が湧いた、みたいな感じだったんじゃないでしょうか。

というわけで、感想は以上です。
このあとも、続きが楽しみなドラマです。

韓国ドラマ『オクニョ 運命の女(ひと)』感想

韓国ドラマ『オクニョ 運命の女(ひと)』の放送が最終回を迎えましたので、感想を書いておきたいと思います。
感想にはネタバレも含まれますので、これから動画サイトなどで視聴する予定の方は、ご注意下さい。

ドラマの舞台は16世紀半ばの朝鮮王朝時代。
典獄署(チョノクソ)で生まれ育った少女・オクニョの、数奇な運命を描く物語です。

最終回で、典獄署の地下牢で師匠パク・テスとのことを思い返すシーンを見ていて、オクニョの波乱の人生の本当の幕開けは、彼との出会いからかもしれないなあと、思ったりしました。
たしかに、母親のこととか本当の父親が誰だったのかとか、彼女が典獄署で生まれ育つに至った経緯とか、フツーではなかなかないようなことがてんこ盛りではあります。
けれど、パク・テスとの出会いがなければ、案外彼女は茶母(タモ)としてフツーに人生を送ったかもしれないなあと、思ったりもするのです。
パク・テスから習った武術があったからこそ、彼女はカン・ソノと出会って体探人(チェタミン)になったわけだし、明での出来事があったからこそ、彼女はパク・テスの孫を探そうとしたわけです。
しかも、母の形見の指輪が「東宮殿の女官が当時の王(中宗)から賜ったものだ」と教えたのも、パク・テスでした。

それはともかく。
次第に明かされて行くオクニョの出生の謎と、あくまでも彼女を亡き者にしようとするユン・ウォニョンとチョン・ナンジョンとの攻防には常にドキドキハラハラさせられました。
そうしながらも、ウォニョンの憎めなさに、なんだか笑ってしまったりする部分もありました。
ウォニョンが妓楼で、さあこれから女遊び! みたいなところにナンジョンが乗り込んで来るシーンとか、なんか、「奥さんに頭の上がらない普通の旦那」って感じで。
それぐらい大目に見てやれよと思いつつ、こういう細かい部分までチェックして管理するから、ナンジョンの今の成功があったのかもなあとも見ていて思ったりしました。
ウォニョンに関しては、他にも最後の方のテウォンだけをなんとか逃がそうとわざわざ「都を離れろ」と言いに来るあたりとか、実はけっこう子煩悩で普通のお父さんなんだなあと感じたり。
そんな悪役ながらも笑えるシーンもあったこの夫婦でしたが、最後は壮絶でしたね。
特に、ナンジョンの方が。
狂ってしまったのは、味方に裏切られたショックもあったのかもですが、結局本当はかなりオクニョに対して脅威を感じていたのかもしれません。
王女とわかるまでは、ただの茶母だったわけですから、普通ならナンジョンの権力をもってすれば、簡単に握りつぶせるはずの人物だったわけです。
なのにオクニョは、無実の罪を着せられてもただ真実を大妃(テビ)に訴えることで放免され、奴婢にされても知力を尽くして都に戻って来ました。
しかも、いつの間にか力を蓄えて、ナンジョンの商団をも潰しにかかっていたりもしました。
そういう事実が積もり積もって、狂ったナンジョンの頭の中では、「全てはオクニョのせい」「いずれオクニョが自分を殺しに来る」という発想になったのかもしれません。
あと、逆の立場だったら、自分は絶対にそうする――というのもあったのかも。
実際、ナンジョンは何度もオクニョの命を狙わせていますからね。

ともあれ、ウォニョンとナンジョンの二人は死んで、最後は大団円、といった感じでした。
ただ、最後まで見て少し気になったことがあります。
まず、ウォニョンの娘のシネはどうなったんでしょうか。
私がこれまで見て来た韓流時代劇では「罪人の子は罪人」というのがフツーでした。
王の側についたテウォンはともかく、シネは無事ではすまないのでは? と思ったのですが……どうなんでしょう?
『馬医』では、チニョンは役所の奴婢となっていましたし、『トンイ』ではトンイも役人に追われていて、それで嘘の姓を名乗っていたのです。
あと、チョングムがちょっと可哀想だなあと。
司法取引をしたとはいえ、これまでミン・ドンジュの手先になっていろいろ悪いことをしたトン・チャンが奥さんもらって幸せそうにくらしているのに、何も悪事に手を染めてない彼女が物乞い生活っていうのが、なんか納得行かないというか。
まあ、最後は一応ウォニョンの妾だったし、子供は彼の子なんだろうから……「罪人の子は罪人」的な法則であの扱いなのかもですが。
それにしても、ちょっとなんかなあ……な気分になりました。

それ以外は、とてもいい最後だったと思います。
オクニョはこれからもテウォンと共に外知部(ウェジブ)を続けて行くんだろうな~とも思いますし、たぶんいずれはテウォンと結婚するのでは? なんてことも妄想してしまいました。

オクニョは、今までのイ・ビョンフン監督作品のヒロインと違って、『戦うヒロイン』だったので、そこも私には魅力でした。
最後、王宮でくらすことをよしとしなかったのは、ビョンフン監督の作品に共通する点だなあと思ったりしましたが。
なんというか、窮屈な時代に、精一杯自由を求め続ける部分があるのかなあと思ったり。
ともあれ、最後まで楽しく見られたドラマでした。

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