アニメ『Fate/Zero』

 アニメ『Fate/Zero』が先日、最終回を迎えたので、簡単な感想など書いてみたいと思います。
 まず全体としては、「終わった」という感じのしない最後だったなあということです。
 これはたぶん、作品自体が本編が他にあって、その過去編だったから、なのかもしれません。
 また、なんとなくやりきれない感じのする最後でもありました。
 それに関しては、セイバーと切嗣がもうちょっと互いに歩み寄れれば、もっと違う最後になっていたかも、という気もします。
 あの2人は、私にはとても似ているように思えました。
 ただ、どちらも自分の前しか見てない感じというか……切嗣にとってセイバーはきっと、銃なんかの武器と同じだったんだろうなと思うし、セイバーは彼が本当はどんな人で何を考え、何を望んでいるのかを知ろうともしなくて、それではそもそも、手をたずさえることさえできないじゃないかと、見終わって思いました。
 それと、どちらも望みが壮大すぎたのかなあとも。
 世界から争いをなくすことも、一国の民全てを1人の王が導くことも、人が人でしかない限り、無理だと思うのです。たしかに、聖杯のかなえ方もまた、皮肉すぎるとは思うけれど、もうちょっとささやかな望みであれば、2人とも、苦しむこともなく、もう少し幸せだったんじゃないだろうかと思いました。
 聖杯戦争に参加して、一番得るものが多かったのはきっとウェイバーでしょうね。
 彼はなんというか、この先の生き方の指針みたいなものを、ライダーから与えられた気がします。仮の宿だったはずの老夫婦とも、本当の絆ができたみたいですしね。
 一番へたれだったのは、雁夜ですか。
 っていうか、この人が一番偽善者だった気がします。
 自分の本当の想いを隠して――といえば一見かっこよく聞こえますが、ようするに本当の気持ちを相手に告げることが怖くて、でも相手に自分がいかに犠牲を払って「あなたのために尽くしているか」わかってほしいってタイプだったように思います。
 綺礼に利用されたのは気の毒だと思うけれど、最後でメッキが剥がれた感がすごくしました。
 その綺礼は最後は本当の悪人になって、なんかすっきりした感じでした。
 彼とアーチャーが時臣を裏切るあたりは、見ていて「なんてひどい奴」と思いつつも、ちょっとドキドキしました。悪役好きなので、最後の人を人とも思わない部分は、悪くないなと思いました。
 主従の組み合わせで、意外と好きだったのは、龍之介とキャンサーですね。
 いや、周囲の人間からはものすごくはた迷惑な主従だと思いますし、やってたことはもちろん許せないようなことではあります。
 が、互いに互いの嗜好を理解し、これ以上ないぐらい尊敬しあってて、そういう意味ではウェイバーとランサーに次ぐ、いい主従だったと思うのです。
 切嗣とセイバーの間にこの2人ほどの信頼や尊敬があれば、最後は変わってたんじゃないかとやっぱり思います。
 もっとも、このラストだったからこそ、この物語は人気を得、他のファンタジーものとは一線を画す作品となったのかもしれませんが。

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