映画『きさらぎ駅』感想

本日は、Amazonプライムにて映画『きさらぎ駅』を見たので、感想を書いておきたいと思います。
ネタバレを含みますので、まだ見てなくて見たいと思っている方は、ご注意下さい。

物語は、大学生の堤春奈が、「はすみ」こと葉山純子に彼女が「きさらぎ駅」に迷い込み、行方不明になった時のことを取材しに行くところから始まります。
純子から話を聞いた春奈は、「きさらぎ駅」に行くためにはある法則があることに気づき、それを実行に移します。そして、「きさらぎ駅」に行くことに成功した春奈は、純子の話を参考に、脱出口を探すことになるのですが――。

ジャンル的にはホラーですが、それほど怖くはありませんでした。
前半の、純子が話す体験のシーンは、一人称視点のゲーム画面のようで、ゲームをやり慣れている人や、ゲーム実況をよく見る人なら、没入感はあるけれど、怖いとは感じないのではないかと思います。雰囲気的には、ヒーローのいない特撮番組、といった感じでした。
後半の春奈が異世界に迷い込んでからあとも、内容を知っているゲームにトライしている人の実況動画を見ている、ような感じがありました。
ちなみに、ここに迷い込んでしまった人たちは、自分がこちらの世界に脱出できるまで、ずっとループする仕様のようでした。
このあたりも、彼らがNPCのようで、ゲームっぽさを助長していたかなと思います。

最後、春奈は結局、こちらの世界に戻ることができませんでした。
戻るための扉は、実は一人しか通り抜けられない仕様だったのです。
そして、純子はそれを知って、「きさらぎ駅」で出会った宮崎明日香を助けるために、春奈に嘘をついていたのでした。
つまりこの話、怖いのは異世界じゃなくて実は人間だよ、というお話なのかも。

最後の最後は、純子の姪の凛が動画配信しながら「きさらぎ駅」へ向かう方法を実行し、本当に異世界にたどり着いたところで終わりました。
電車の中には、もちろん春奈もいます。
純子の体験を知っている凛と春奈が力を合わせれば、扉までたどり着くのはもっと簡単かもしれません。
ただ、凛は本当の現実世界への戻り方を知っているのでしょうか。
私は最初、純子から聞かされているのか？　と思っていたのですが……公式サイトを見ると、どうやら、純子と春奈の話を盗み聞きしただけっぽいです。
……ということは、案外、彼女のおかげで春奈はこちらの世界に戻れるのかもしれません。それとも、真実を知らず、純子の話だけを参考にしている春奈が、凛を先に行かせて、結局戻れずじまいなのでしょうか。
そして、凛が戻れた場合は、録画した動画を配信したりして……そしたら「きさらぎ駅」行きを試す人が増えたりして……な～んて、いろいろ妄想してしまいました。
怖くはなかったですが、見終わったあとに、あれこれ妄想できたのは、楽しかったです。

２ch発祥の話をうまくまとめた映画で、映像的にもいい感じで、面白い作品だったと思います。
ただもうちょっと怖ければよかったのにな、とは思いました。
以上、感想でした。