BD『ニーアオートマタFAN FESTIVAL 12022 壊レタ五年間ノ声』感想

 先日、昨年行われた『ニーアオートマタ』のファンフェスティバルブルーレイが発売されました。
今回は、それを見た感想を書きたいと思います。

このブルーレイは、昨年(2022年)11月25~26日に行われた朗読劇付きコンサートの映像を記録したものです。
2枚組で、1枚目には25日の公演が、2枚目には26日の昼と夜の公演が収録されています。
公演は、楽曲演奏と歌唱の間に朗読劇が挟まるファンにはおなじみの形です。
朗読劇は、ゲーム3周目の商業施設前でのA2、2B、9Sのやりとりのあと、彼らが迷い込んでしまった謎の空間での、記録には残っていない出来事を描いています。
25日は2B視点、26日は9S視点になっていて、前作レプリカントの面々や『ニーアリィンカーネーション』のママが登場します。
25日の演者は、石川由衣さん、諏訪彩花さん、門脇舞衣さん、あきやまかおるさん、安元洋貴さん、遊佐浩二さん、野中藍さんの七名。
26日は、花江夏樹さん、諏訪彩花さん、門脇舞衣さん、あきやまかおるさん、安元洋貴さん、遊佐浩二さん、原由美さんの七名に、シークレットキャストの石川由衣さん、そして夜公演の方では、磯部恵子さん、初美メアリさんが参加しています。

さて、前置きもほどほどに、感想行きたいと思います。
まずは、冒頭の6Oと21Oのやりとりから『崩壊ノ虚妄』の演奏、そしてバンカーが落ちるまでの映像とテキストで、一気に引き込まれて行きました。
朗読劇の内容は、もう胸に痛いの一言ですね。
ゲームをやっていれば、この時すでに2Bが死んでいることも、空間に迷い込んでいる青年と妹が何者かも、ある程度は知っているわけで……それを知りつつも、最後どうなるのか……辛い展開になるんじゃないのか……と思いながら見るのは、なんというか、心臓に悪いといえば、悪いです(;^ω^)
それだけに、最後の最後に流れるEエンドの映像には、ホッとしてしまうのですが。

そんな中、上手いなあと思ったのは、音楽の使い方です。
戦闘シーンや移動、探索のシーンを音楽とテキストで見せているんです。
が、セットリストは同じでも、25日と26日では場面が違っていて、それがちゃんと想起できるところがすごいなと。
ヨコオさんはよく、「詳しく語らないのは、ユーザーに自分で想像してほしいからだ」といった意味のことを言われるのですが、それがそのまま演出に現れているなと感じました。
そもそもニーアシリーズのボーカル曲って、歌詞が造語のものが多いんですが、だからこそ、聞く側はいろんな思いをそこに見ることができるのかもなと思います。

朗読劇終盤の、ポッドたちが命がけで命令を果たそうとしたり、無理にでも9Sの自我データを人類会議のサーバーに送ろうとするあたり、なんともいえない気持ちになりました。
付き合いが長いからこそ、よく理解している主の考え方や行動、それに対して、機械だからこそ強行手段に出られるのだろうと思いつつ……彼らのこれは、やっぱりちゃんと感情があるんだろうか、どうなんだろうか……なんて思ったり。
いやまあ、ゲームの方を見ても、やっぱりなにがしかの感情はあるんだろうなとは思うのですが……一方で、機械っちゃ機械な部分が徹底しているので。
そこはやはり、脚本の妙であり、演者さんたちの演技の深さなのかなとも思いました。

26日の夜の分のラスト、6Oと21OのやりとりがあってEエンドの映像を見ると、2Bが生き返ることが、すごく腑に落ちますね。
考えてみれば、義体だけがあっても、自我データや記憶データがなければ、彼らは私たちの知る2Bや9Sにはならないわけで。
そこがちゃんと説明されてて、なるほどと思いました。

あと、全日に渡って思いましたが、朗読劇最後の、テキストで表示される2Bの言葉が、神!
いや、ほんとに。
少しずつ漢字混じりがひらがなだけになって、表示が遅くなり、打ち間違えたり、なかなか変換されなくなり……っていうテキストの出方が、まさに、ウィルスに冒されて意識が遠のいていく2Bの状態を物語っていて。
最後の「ないん」がもうもう、何回見ても、めちゃくちゃ胸に刺さって刺さって、ここだけでも、ほんとにヨコオさん神! 壱岱さん神! ってなります。


以下は、内容からは少しはずれるのですが、私がよかったなと思ったところです。
まず、A2役の諏訪さんが出ていたことです。
諏訪さんは、私が知る限りではこれまで、オートマタのイベントには出ていらっしゃらないんですよね。
それが今回は、3公演とも出て下さっていて、それがとてもうれしかったです。

それから、エミールが25日の公演では、ニーア、ヨナと会えたことですね。
エミール自身は記憶がなくて、よくわかってなかったと思います。
そして、ニーアとヨナも、エミールの仲間や友人である二人ではないんですけれど。
それでもなんだか、よかったなあ……って思ってしまいました。

そして、時おり映る会場が人で一杯で、ちゃんと万来の拍手が起こるところ。
これはカーテンコールで、岡部さんもおっしゃってましたが、前回のニーア10周年の時が無観客で、人もおらず、拍手も鳴らずだったのが、めっちゃ悔しかったので、すごくうれしかったです。
もちろん、当時ニコ生配信で見た人たちは、みんなめっちゃ拍手してたとは思うんです。
でもやっぱり、実際に人の姿があって、拍手が鳴って、それが関係者の方や演者さんらに届いているのが、ほんとにうれしかったです。

最後の一つは、イベントがあるたびに、朗読劇という形でオートマタに関する物語、データが足されて行くことですね。
それも、ちゃんと今まで描かれて来たことに対して矛盾なく足されて行くので、私たちファンも「知らなかった話を知れた」感じで受け入れられるのがいいなと思います。

今回のブルーレイには、イベントの際にニコ生・YouTubeで無料で配信された、コメディ朗読劇の台本が3冊、封入されています。
内容は本編とはまったく関係のない、ハチャメチャな内容で、気楽に笑って見られるものなんですが、台本がすごく豪華です。
イラストも可愛いです。
改めて読み直すと、なかなか楽しいです。

あと、早期予約した人には特典として、3公演分全ての台本が1冊にまとまったものがもらえました。
私は告知されてすぐに予約したので、当然もらいました。
台本、めっちゃ分厚いです。
そして、演者さんたちへの指示とかすごく細かくて、読むだけでも臨場感が伝わって来ます。
それと、個人的に可愛いと思ったのが、バンカー内でのオペレーターさんたちのやりとりですね。
これは休憩時間や開演前に流されたものですが、聞いててほほえましいです。
あと、作業用に、この音声ほしいな、なんて思いました。

Amazonで早期予約した人には他に、舞台の写真もついてました。
これも、実際に東京に行けなかった身としては、ウレシイ特典です。

以上、ブルーレイの感想でした。
かなり長くなりましたが、これでもまだまだ語り足りない気持ちです。
が、とりあえずはここで筆を置きます。
素晴らしいものを見られて幸せです。ありがとうございました。

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