ようやく全編読み終えました、小説『本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~』の第五部『女神の化身』の感想を書きたいと思います。
ネタバレ的な内容が含まれますので、そういうのが気になる方は、ご注意下さい。
まずは、あらすじを。
第四部にて、ユレーヴェによる二年間の眠りから覚め、貴族院に入学したローゼマイン。第五部では、三年生と四年生の日々が描かれます。
まあ、四年生は途中で授業など受けられなくなって、貴族院が終了していた――ってことになるのですが。
それはともかく。
いやもう、本当に素晴らしい最後でした。
サブタイトルから、なんとなく「最後は下町の家族の元へ戻れるのかな?」と思ったりしていたのですよ。
けど、なんかどんどん話がおおごとになって行くじゃないですか。
しかも、事がおさまっても、ぽっかり抜けた下町の記憶は戻って来ないし。
ほんとにどうなるの? これ、ハッピーエンドになるの?
と、めっちゃハラハラしながら読んだのですが……だからこそ、かもしれないですが、最後は本当に、ホッとしたし、よかったなあって思ったし、ちょっと感動して泣けて来てしまいました。
にしても『記憶』のあたりは、作者さん巧いなあって思いましたね。
ローゼマインに下町の家族の記憶を思い出させるために、フェルディナンドの記憶を覗かせる――ということなんですが、ようはローゼマイン視点であるために普段はわからないフェルディナンドの想いを見せよう、という趣向なわけですよね。
これによって、ローゼマインも私たち読者も、彼がどれほど彼女とその家族の絆を守りたいと思っていたか、そして貴族の養女にして引き離さなければならなくなったことを後悔していたのかを知ることになります。
ちなみに、ローゼマインの失われた記憶はどうも、いろいろな意味で「辛い記憶」だったようで、女神の気遣いだったのかもしれません。
けど、私は人間には「辛い記憶」も実際には必要なのかもしれない、という気がします。
だって、その記憶があってこその「その人」だと思いますから。
ましてやローゼマインにとって下町の記憶は、「思い出すと辛い」けれども「幸せな記憶」だったはずで。
そこんとこがわかってないのが、やっぱり神様なんだなあ……と思ったりもしたのでした。
それにしても、後半の、フェルディナンドがピンチになってからあとは、まさに怒涛の展開でしたね。
目が離せないというか――彼を無事に助けられるのか、とかアーレンスバッハはどうなるの、とかエーレンフェストの礎は無事? とかとか。
おかげで、このあたりを読んでいる間は、すっかり寝不足でした(;^ω^)
だからよけいに、最後がハッピーエンドだったことに、すごく安堵したし、感動したのかもしれません。
……うう、しかし、今思うと結局ローゼマインって、憑依体質ってことですよね?
ってことは、これから先も神々をはじくためのお守り必須ってことで……。
フェルディナンドの苦労はこの先も続くってことかもですね(;^ω^)
あと、ちょっと残念だなあと思ったのは、基本的にローゼマイン視点であるために、悪役側の話がイマイチ曖昧だったことですね。
これはまあ、掲載場所が『小説家になろう』であるためにあえて作者さんは書かなかったのかもしれませんけれど。
でも、特にラオブルートがなんで他国の者を王にしようとしたのかっていうのが、よくわからなくて。
いや、なんとなく想像はできるんですけれどもね。
あと、ラオブルートとゲオルギーネのつながりとかね。
こっちも、なんとなく想像はできるけど、ちゃんと書いてほしかったなあと悪役好きな私は思ったのでした。
商業出版の方ではそういうのも書かれているのかもしれませんが。
それとも、主な読者が望まないって理由でやっぱり書かれないのかな。
まあ、だとしたらしかたがないですけれどもね。
どちらにせよ、私は「主な読者」の年齢層からはどう考えてもはずれていますし(笑)
それはともかく、最後まで読み終われて、本当によかったです。
素敵なお話を、ありがとうございました。
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