韓国ドラマ『オクニョ 運命の女(ひと)』感想

韓国ドラマ『オクニョ 運命の女(ひと)』の放送が最終回を迎えましたので、感想を書いておきたいと思います。
感想にはネタバレも含まれますので、これから動画サイトなどで視聴する予定の方は、ご注意下さい。

ドラマの舞台は16世紀半ばの朝鮮王朝時代。
典獄署(チョノクソ)で生まれ育った少女・オクニョの、数奇な運命を描く物語です。

最終回で、典獄署の地下牢で師匠パク・テスとのことを思い返すシーンを見ていて、オクニョの波乱の人生の本当の幕開けは、彼との出会いからかもしれないなあと、思ったりしました。
たしかに、母親のこととか本当の父親が誰だったのかとか、彼女が典獄署で生まれ育つに至った経緯とか、フツーではなかなかないようなことがてんこ盛りではあります。
けれど、パク・テスとの出会いがなければ、案外彼女は茶母(タモ)としてフツーに人生を送ったかもしれないなあと、思ったりもするのです。
パク・テスから習った武術があったからこそ、彼女はカン・ソノと出会って体探人(チェタミン)になったわけだし、明での出来事があったからこそ、彼女はパク・テスの孫を探そうとしたわけです。
しかも、母の形見の指輪が「東宮殿の女官が当時の王(中宗)から賜ったものだ」と教えたのも、パク・テスでした。

それはともかく。
次第に明かされて行くオクニョの出生の謎と、あくまでも彼女を亡き者にしようとするユン・ウォニョンとチョン・ナンジョンとの攻防には常にドキドキハラハラさせられました。
そうしながらも、ウォニョンの憎めなさに、なんだか笑ってしまったりする部分もありました。
ウォニョンが妓楼で、さあこれから女遊び! みたいなところにナンジョンが乗り込んで来るシーンとか、なんか、「奥さんに頭の上がらない普通の旦那」って感じで。
それぐらい大目に見てやれよと思いつつ、こういう細かい部分までチェックして管理するから、ナンジョンの今の成功があったのかもなあとも見ていて思ったりしました。
ウォニョンに関しては、他にも最後の方のテウォンだけをなんとか逃がそうとわざわざ「都を離れろ」と言いに来るあたりとか、実はけっこう子煩悩で普通のお父さんなんだなあと感じたり。
そんな悪役ながらも笑えるシーンもあったこの夫婦でしたが、最後は壮絶でしたね。
特に、ナンジョンの方が。
狂ってしまったのは、味方に裏切られたショックもあったのかもですが、結局本当はかなりオクニョに対して脅威を感じていたのかもしれません。
王女とわかるまでは、ただの茶母だったわけですから、普通ならナンジョンの権力をもってすれば、簡単に握りつぶせるはずの人物だったわけです。
なのにオクニョは、無実の罪を着せられてもただ真実を大妃(テビ)に訴えることで放免され、奴婢にされても知力を尽くして都に戻って来ました。
しかも、いつの間にか力を蓄えて、ナンジョンの商団をも潰しにかかっていたりもしました。
そういう事実が積もり積もって、狂ったナンジョンの頭の中では、「全てはオクニョのせい」「いずれオクニョが自分を殺しに来る」という発想になったのかもしれません。
あと、逆の立場だったら、自分は絶対にそうする――というのもあったのかも。
実際、ナンジョンは何度もオクニョの命を狙わせていますからね。

ともあれ、ウォニョンとナンジョンの二人は死んで、最後は大団円、といった感じでした。
ただ、最後まで見て少し気になったことがあります。
まず、ウォニョンの娘のシネはどうなったんでしょうか。
私がこれまで見て来た韓流時代劇では「罪人の子は罪人」というのがフツーでした。
王の側についたテウォンはともかく、シネは無事ではすまないのでは? と思ったのですが……どうなんでしょう?
『馬医』では、チニョンは役所の奴婢となっていましたし、『トンイ』ではトンイも役人に追われていて、それで嘘の姓を名乗っていたのです。
あと、チョングムがちょっと可哀想だなあと。
司法取引をしたとはいえ、これまでミン・ドンジュの手先になっていろいろ悪いことをしたトン・チャンが奥さんもらって幸せそうにくらしているのに、何も悪事に手を染めてない彼女が物乞い生活っていうのが、なんか納得行かないというか。
まあ、最後は一応ウォニョンの妾だったし、子供は彼の子なんだろうから……「罪人の子は罪人」的な法則であの扱いなのかもですが。
それにしても、ちょっとなんかなあ……な気分になりました。

それ以外は、とてもいい最後だったと思います。
オクニョはこれからもテウォンと共に外知部(ウェジブ)を続けて行くんだろうな~とも思いますし、たぶんいずれはテウォンと結婚するのでは? なんてことも妄想してしまいました。

オクニョは、今までのイ・ビョンフン監督作品のヒロインと違って、『戦うヒロイン』だったので、そこも私には魅力でした。
最後、王宮でくらすことをよしとしなかったのは、ビョンフン監督の作品に共通する点だなあと思ったりしましたが。
なんというか、窮屈な時代に、精一杯自由を求め続ける部分があるのかなあと思ったり。
ともあれ、最後まで楽しく見られたドラマでした。

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