小説『本好きの下克上 第二部』感想

新年、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

さて、新年一発目のエントリーは、小説『本好きの下克上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~』の第二部『神殿の巫女見習い』の感想です。

ちなみにこの作品、昨年秋に第一部がアニメ化されまして、それを見てすっかり作品のとりこになり、とにかく続きが読みたくて、小説投稿サイト『小説家になろう』に掲載されているバージョンを延々と読みふけっておりました。
で、最近ようやく二部を読み終えたので、感想を書いておこうと思った次第です。

ざっとあらすじを書いておきますと――
自室で本に埋もれて死亡した本栖麗乃は、本が読めればそれで幸せという女性。
その彼女が死後、中世のヨーロッパのような異世界に、虚弱な5歳児マインとして転生します。
マインとなった麗乃は本を探しますが、この世界では本は高価で貴族でなければ手に入れることができません。更に識字率も低く、マイン自身も字を読み書きすることができません。
そんな中、字を覚え、本を作るためのマインの奮闘が始まります。
――というわけで、第一部では近所の男の子ルッツと共に商人見習いとなったマインは、一部の最後で神殿へ巫女見習いとして入ることになりました。
第二部では、その神殿での日々と、絵本を作るお話です。

読み終わって最初に思ったのは、「神殿長、相手のこと知らなさすぎ」ってことでした。
まあ、それだけマインのことを平民だからって甘く見ていたんだとは思うんですが。
それにしても、誘拐するのにマインの外見もろくに知らなくて、トゥーリと区別がつかないとか、アホやろとしか。
あと、彼女の魔力量の多さとかも、トロンベ討伐の時の話とか祈念式の時のこととか、全然知らなかったんかい、と言いたくなる感じで。
なんというか、本当に『お山の大将』だったんだなあと。
そもそも、神殿にいる青色神官は、貴族の家に生まれていても魔力量が少なかったり家族から必要とされていない、いわば「貴族のおちこぼれ」なわけですよね。
平民である灰色神官に対する異常なまでの差別意識も、結局はその現実から目を背けて自分の劣等感をごまかすためのものなんじゃないかなあと思いました。
神官長によると正式な貴族になるためには、貴族院という学校を卒業しないといけないらしいですが、青色神官たちは子供のころに神殿に入ってそのまんまみたいですし、ようするに実際は貴族でもなんでもないわけですよ。
神殿長もそういう人だったわけですが、運悪く姉が前領主の正妻になって、その息子が領主になり、そしてまだ生きている姉が彼を溺愛していたがために、自分の力を勘違いしてしまった――んではないかなあと、読み終わって思いました。
だから、一度はマインに殺されかかっても、彼女の魔力量も彼女の性格も理解せず、平民だからっていう理由だけで甘く見て、最後はあんなことになったんだろうなあと。
ただ、結果的には彼が動いたおかげで、マインは領主の養女となることを決意したわけですし、最終的にはよかった(?)のかな、とも思います。

前半の側仕えたちとの交流や孤児院の話も、とても面白かったです。
このあたりは、基本的にマインの新しい日常って感じですね。
ルッツと家族の話は、神殿での話し合いが持たれるまでは、ルッツの家族にけっこうむかついてました。
アニメの方でもルッツの母親がエーファに「何も人を騙すような仕事につかなくても……」と愚痴をこぼしているシーンがありましたが、なんか父親が商人を騙る詐欺師にでもだまされたことあるんかい、とずっと思ってました(爆)。
まあ、実際はそういうわけではなくって、ただ単に父親の言葉が足りなかっただけで、ルッツも母親や兄弟たちもみんな勘違いしていただけだったんですが。
でも、ルッツが休みの日にベンノの用事やマインの送り迎えをして家にいないのを、どっかで遊んでいると兄たちが勘違いしていたのは、ひどいと思いましたよ。
何も言わないルッツも悪いのかもだけど、その分の給料はもらっていて、家にも入れているわけなのに、なぜそこまで悪い方向に取るんだろうと思いました。

マインとベンノ、マインと神官長のやりとりはいつもなんとなくおかしくて、読んでいてついつい笑ってしまいました。
ヨハンがマインとベンノを親子だと勘違いしていましたが、無理もないかもなあと思ったり?
あと、ジルヴェスターの言動にも毎度笑ってしまいました。
春にはアニメの二期も放送されるわけですが、彼の声が誰になるのか、楽しみです。
ベンノが子安さん、神官長が速水さんなので、ジルヴェスターは山口勝平さんとかどうだろう? なんて思ってみたり。
それはともかく、小学生のガキんちょみたいなジルヴェスターも、やる時はやる人で、最後はなかなかかっこよかったです。
母親を断罪するという、辛い部分もありましたが、自分の役目をちゃんと果たしたって感じでした。

ラスト、マインは自分の命と家族を守るため、上級貴族の娘として領主の養女となる決断をします。
家族との別れのシーンも悲しかったですが、閑話休題で語られるマインの葬式の話とか彼女の祝福の光が大事な人たちを癒すシーンとかも、なんともやるせなかったです。

――さて、現在は第三部を読んでいる途中なのですが、ローゼマインとなったマインと神官長のやりとりに、なんだか萌え萌えしている日々です(爆)。
年の差カップル好きの私には、かなりどストライクな感じでして、いっそ全部アニメ化してほしい、三部のこの二人のやりとりをアニメで見たい……という思いが強くなる一方です(爆)。

というわけで、感想でした。

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