韓国ドラマ『屋根部屋のプリンス』

少し前に、韓国ドラマ『屋根部屋のプリンス』をDVDで見たので、感想を書きます。

まず、あらすじですね。
主人公イ・ガクは、朝鮮王朝時代の世子(セジャ=王太子)。
突然亡くなった妃は殺されたに違いないと考え、三人の側近と共に、死の真相を探ります。
その途中、なぜか四人は突然、現代の韓国はソウルへとタイムスリップし、ヒロイン、パク・ハの住む屋根部屋へと現れたのでした。
一方、現代のソウルには、大手通販会社の会長の孫である、ヨン・テヨンという、イ・ガクそっくりの青年がいて、二年前から行方不明となっていました。
そのテヨンと間違えられたイ・ガクは、会長の秘書が亡くなった妃そっくりであることから、彼女と自分がこの時代でも結婚できれば、全ての真相も解明され、元の時代に戻れると考えます。そして、自らテヨンと名乗り、会長の孫としてくらすことになるのですが……。

楽しい中にもシリアスが効いていて、最後まで見飽きない、面白い作品でした。
世子様とパク・ハのやりとりとか、世子様と三人の側近たちとのやりとりとかが、見ていてすごくおかしくて、笑わずにはいられませんでした。
一方では、セナとテムの悪役ぶりに、うお~となったり。
セナに関しては、親のことがそんなに恥ずかしいのかなあと、見ていて首をひねりたくなりました。
まあ、親の職業が子供の就職等に影響する、みたいな部分はもしかしたら、韓国の社会全体としてあるのかもしれません。が、会長が彼女を頼りにしているのは、やっぱりその有能さゆえだろうになあと見ていて思ってしまいました。
でも一方ではセナは、自分の本当の親が地位も金もある人物だとわかった時、嘘をついていたから合わせる顔がない、と一緒に香港へ行くのを取りやめてしまったりもするわけで……完全には自分のしていたことを、正しいとは思ってない部分があったのかなあとは思います。
最後の方でも、テムはとにかく逃げることしか考えてなかったけど、彼女はパク・ハのために病院へ行くことを決意したわけだし、テムが逮捕されたあとも、彼のしたことを証言するために自首したわけですしね。

テムの方は、もともとの性格もあるだろうけど、テヨンの件に関しては会長も悪い気はします。
どちらも同じ孫なのに、テヨンだけをものすごく大事にして、テムに対しては冷淡だった部分があるわけで、しかもテヨンはなんでもよくできるタイプみたいだったから、テムの劣等感はきっとずいぶん刺激されていたんだろうなあと。
しかもしかも、テヨン自身は会社はどうでもよくて、絵をやって行きたいって人で。
テムからしたら、自分が必死に追い求めているものを、簡単に手に入れられる位置にいながら投げ捨てる奴って認識だろうしなあ。

そういえば、テヨンのふりをしている世子様が、会長に「もう絵はやめたの?」と問われて、「今は描かなくても写真があるから」と答えていたけど、それは違うと思いました。
いやまあ、世子様は絵になんて全然興味ないので、ここではそう答えるしかなかったんだとは思うけど。
でも、クリエイティブなことって、そういうもんじゃないから。
なので、ここでこの答えを聞いて、少しも違和感を覚えず、相手を本物のテヨンだと思っていた会長も、実際にはテヨンのうわべしか見てなかったか、「自分にとって都合のいい孫」が必要なだけだったのかもなあと今書いていてふと思いました。

ところでこのドラマ、本当の最終回は19話の方だなあと思いました。
20話は、朝鮮王朝時代の方の事件解決編で……そっちは、すごくよかったと思います。
強いて言えば、世子様は死体の顔を見てなかったからしようがないとしても、他の者たちは見てるはずなのに、なんで入れ替わりに気づかなかったんだろうと、そこが不思議ですが。
それともそれは、嬪宮(ピングン=王太子妃)とプヨンの父親が隠蔽したってことで、いいのかしら。
ともあれ、プヨンの想いが彼らを現代へタイムスリップさせ、パク・ハと出会わせ、真実をつきとめさせたんだろうなあと感じて、思わず溜息でした。
ただ、現代の方のパク・ハの分は、どう解釈していいのか、よくわかりませんでした。
いずれは意識の戻ったテヨンと出会い、彼と愛を育むことを予想させていると考えていいんかなあという気もするのですが……それにしては。
だってあれ、テヨンじゃなくって世子様の方に見えましたし。
ってか、最後の最後で、服装も世子様になってて、結局パク・ハもしくは世子様の妄想なのかなあという気も。
なんか、ずうっとすごく楽しく見て来て、19話の最後もせつなくて、20話の謎解き部分もおお~っという感じで、めっちゃ良かったのに、この最後の最後で急に「何これ、わけわからん」になっちゃって、そこがちょっとなあでした。
まあ、恋愛ドラマなんてめったに見ないので、私の解釈能力が低いだけかもしれませんが。

あと最後まで明かされなくて気になったのが、パク・ハの名前の件です。
子供のころはインジュだったのに、なんでハになったのか。
たぶん、父親が変えたのだろうけど、そしてドラマ的にはなかなか彼女と母を合わせないための策だったんだろうけど、セリフででも簡単に説明がほしかったです。

以上。
気になったところもあったけれども、全体としてはとっても楽しくてでも、ハラハラドキドキな素敵なドラマでした。
見られてよかったです。

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