以前、一部だけここで感想を書いた『ミヘギョル』を見終わったので、改めて全体の感想を書いておきたいと思います。
簡単に言うとこのお話、朝鮮王朝時代を舞台にした『怪奇大作戦』です。
『朝鮮王朝Xファイル』みたいなあおりがついてましたが、作り的には『怪奇~』の方に近い気がします。
朝鮮王朝第15代王、光海君(クァンヘグン)が君臨する時代を舞台に、主人公のキム・ヒョンド、ホ・ユニ、チャン・マンの三人が不思議な事件を調査する物語。
一応一話完結で、1、2話はUFO出現の話にからめて、ヒョンドがチ・スン率いる神武(シンム)会に加わる話、3話は金塊を見つけた人々が不気味な死に方をする話、4話はゾンビのような化け物になってしまった少年の話、5話は未来が見える男の話、6話は鬼神が祟るといわれている屋敷を調べる話、7話はヒョンドが不思議な世界に迷い込む話で8話はその解決編。9話は吸血鬼の話、10話は落ちた竜神の話、そして11、12話は神武会創設にからむ宗教団体のお話となっています。
まずこの作品、映像の撮り方が、今まで見た韓国ドラマとは全然違っていて、ちょっとドキュメンタリーちっくな感じがしました。
あと、特撮部分はドラマなのにけっこう凝っているように見えました。
それと、舞台にしている時代の選び方も上手いと思います。
というのも、この時代の王、光海君はのちにクーデターによって王位を追われてしまう人物だからです。
1、2話のUFOの話では、それが現れたことを正直に都に報告したヒョンドの師イ・ヒョンウクは謀反人として捕らわれ、結局は処刑されてしまいます。
空に巨大な火の玉が現れる(UFOのこと)→異変→天が王がその地位にふさわしくないと言っている、あるいは、王の退位などの前触れ、というわけで誰もがUFOの出現を「なかったこと」にしようとする中、ヒョンウクだけがそれを「見た」と言い続けたからです。
また、5話の未来が見える男の話でも、彼の母親は王がその地位を追われることを予言した巫女だったというエピソードが語られます。
これらの話は、史実である光海君の退位を、いわば逆手に取って作られた物語と言えるでしょう。
全12話の中で、私が最も秀逸だと思ったのは、6~8話ですが、これについてはすでに書いているのでここでは割愛するとして、9話の吸血鬼の話と、11、12話を中心に書いてみたいと思います。
まず9話の方ですが――。
ここでは、神武会の別の面、ただ単に不思議な事件を調査するだけでなく、それが民にとって脅威であると判断すれば秘密裏に抹殺できるだけの力をも持つのだ、ということが語られています。
それは、この組織の大きさを示すと共に、更に暗い一面を描き出している、とも言えるかと思います。
そして、11、12話では、チ・スンが神武会を作るきっかけとなった事件が語られます。
この話もUFOがらみで、20年前に処刑されたカン・ユソクは、UFOと遭遇した結果、病気を治したりする力を得ます。
しかもこの力は、遺伝するらしく、娘のスヒも同じ力を持っていました。
つまり、遺伝子からして変質してたってことでしょうか。
ともあれチ・スンは、カン・ユソクとの出会いをきっかけに、神武会を立ち上げたようです。
さて。
12話の最後で、UFOの放つ光に飲み込まれ、忽然と消えたヒョンドは、どこかの浜辺でユニと遭遇します。
なんとも不思議なラストですが、私はこれは案外、8話で預言者の老人が言った「ユニを中心とした彼女の望む未来」なのではないんだろうか、と感じました。
あと、ユニのことですが。
彼女は案外、年を取らない人外の者だったのでは? という気もします。
8話でチ・スンは彼女に「おまえがいなければ、意味がない」と言っています。また、彼女は過去の記憶を失っていて、そのくせ若いのにさまざまな不思議に関する知識に長けています。
また、未来のユニは、少しも年を取っていないようにも見えました。
そうしたことから考えて、チ・スンが神武会を立ち上げたのは、ただカン・ユソクの件だけではなく、彼女との出会いがあったればこそ、なのかもなあとも思ったりしたのです。
なんにしても、最後まで目の離せない、そしてワクワクさせてくれる不思議なドラマでした。
こういうタイプのドラマは、日本では昔は特撮番組などでも作られたりしていたものですが、最近はあまり目にしなくなってしまいました。
それだけに、私的にはとても面白く、楽しく見られたのでした。
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