アニメ『彼方のアストラ』感想

アニメ『彼方のアストラ』が終わったので、感想を書きたいと思います。
途中、ややネタバレ的な部分もありますので、お気をつけ下さい。

まず、久々のSFアニメ、しかもなんだろう、少年少女が冒険して成長して行く、正統派アニメだったなあって思います。
そういう点でも、私のような年寄りには楽しく見られた作品でした(笑)。

ざっくりあらすじを書いておきますね。
宇宙キャンプに参加した9人の高校生たちは、キャンプ場となった惑星到着後、謎の球体に飲み込まれ、母星から遠く離れた宇宙空間に放り出されてしまいます。
そして、そこにあった宇宙船に乗り込み、途中の惑星で食料や水などを補給しながら母星へと戻ることを決意します。
その旅の途中、彼らは各々の問題を解決したりしながら仲間との絆をはぐくむと共に、成長して行きます。
やがて最後には、自分たちがなぜ宇宙に放り出されることになったのかといった理由や、母星の秘密などを知ることになるのでした――。

……最初見始めた時には、萩尾望都の『11人いる!』を思い出して、学校側が彼らを試しているのかな~とか思っていたのですよね。
途中、フニが施設で覗き見した刺客の話をしたあとも、わりと登場人物たちが自己の問題を解決する、みたいな内容が多かったので、相変わらず私は『11人いる!』的な方向も捨てきれていませんでした。
特に、ユンファの話なんかはもう本当に、「自己の解放」といった感じだったので、そういうのが目的の物語なんだと思ったりしていました。
いや、もちろん、それも含まれてはいると思うんですが、それを意図したのは作者であって、彼らを宇宙に放り出した者たちではなかったわけです。

終盤、初めてカナタたちの親たちが登場して、ここで改めて「これは学校の計画ではなかったんだ」とはっきり感じました。
ってか、失踪宣告出すの早すぎだろ! と見てて思いましたよ。
だって、現実には子供が行方不明になって10年以上過ぎても生存を信じて探し続けている親っているじゃないですか。
なのに、いくら宇宙時代だからって、それはないだろって思ったわけです。
アリエスの母親だけが、もっと探そうと言ってて、これがフツーの反応だよなあ……と思ったわけですが、ここらあたりが言ってみれば最後の方で明かされる真実への伏線だったのですね。
更にそのあと、ポリーナの登場によって、カナタたちの母星が地球ではなくアストラという別の星であることが判明します。
このあたりからは、怒涛の謎解き編といってもいいかもしれません。
ちなみに、10話での互いの歴史の付き合わせとそこから判明した矛盾というか違いの話を見て、私は地球とアストラの年の間に実際にはもっと空きがあるんじゃないかと感じました。
たとえば、地球では当然、西暦を使っているわけですが、アストラ移住後は別の暦を使っているとか――みたいな感じで。
まあ、このあたりのことも、最後には解明されたわけですが。

最終回は、すごくよかったです。
アストラ政府の対応もよかったし、7年後のB5班のメンバーの姿も見られてよかったし。
コンサート会場の裏口でのやりとりを見ていて、ルカとウルガーって恋人同士になったっぽい? と思ったのは、私だけでしょうか。
あそこのシーンでは、ルカは女の子っぽい格好だったし、女性として生きることを選んだのかもな、という気もしました。
そして、ラスト。
再びアストラ号でカナタたち三人が宇宙に出て行く姿は、明るい未来を思わせて、本当によかったです。
やっぱり、冒険ありのSFってこうでなくっちゃ! って思いました。

にしても全編見終わって、人との出会いってやっぱり大切なんだなと感じましたね。
カナタがあんなふうに前向きで強くあれるのは、中学の時の先生との出会いがあったからこそだと思うんですよね。
先生との出会いとその死が、彼を強くしたし、あの冒険を乗り越えさせたんじゃないかって。
そして、他のメンバーたちにしても、ここでの出会いがあったから、自分の問題と向き合い、最後まであきらめることなくがんばり続けることができたんじゃないかって気がします。

ともあれ、久しぶりに後味のいい、良質のアニメだったと思います。
最後まで見られて、よかったです。

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