朗読劇『声優×怪談』感想

8月14、15日にNHKで放送された朗読劇『声優×怪談』を見たので、その感想です。

14日は『赤の怪談』と銘打って、『108人目の卒業生』『黒いプロフィール』『佐賀の化け猫』『呪怨』『轢いた女』『元カノ』の6編を、緒方恵美さん、竹達彩奈さん、神谷浩史さん、桑島法子さん、三石琴乃さん、池田秀一の6人が朗読。
また、15日は『黒の怪談』と銘打ち、『死を呼ぶ大観覧車』『リング』『青い目の人形』『自殺ですね?』『最期の夢』『菊花の約』の6編を、竹達彩奈さん、池田秀一さん、三石琴乃さん、桑島法子さん、うえだゆうじさん、神谷浩史さん、緒方恵美さんの7人が朗読しました。

どれも原作付きで、知っている話も知らない話もあったわけですが、まず圧巻だったのが、緒方恵美さんです。
『108人目の卒業生』を竹達さんと、『自殺ですね?』を1人で朗読しているのですが、1人で何役もこなしてらして、それがちゃんと全然違う人に聞こえるという、七色の声ぶりを披露してらっしゃいました。
『自殺ですね?』は、内容の方も私にとっては、皮肉が効いていて、なかなか面白く感じられるものだったので、それもあって、よけいに緒方さんの芸達者ぶりが際立っていたように思います。
もちろん、他の声優さん方もすごくうまくて、聞きごたえがありました。

お話としては、どれもあとからじわじわと怖くなって来たり、悲しくなって来るようなタイプのものが多かったなと感じます。
『呪怨』と『リング』は、どちらも映画で有名な作品で、殊に『リング』は原作小説は長編ですが、それをうまく短い内容にまとめていたと思います。
また、『佐賀の化け猫』と『菊花の約』も古くからある有名な話ですが、若い人にとってはもしかしたら、逆に新しく感じられたかもしれませんね。
『菊花の約』は、うえださんと神谷さんが朗読されたのですが、すごく作品の雰囲気に合っていて、よかったと思います。
視聴しながら、二人の間のさまざまな感情を、あれこれ想像したりして、小説を読む時の「行間を読む」にも似た鑑賞のしかたができて、楽しかったです。
『轢いた女』と『元カノ』は、けっこうエグい話でしたね。
そして、『最期の夢』は、お盆、そして終戦記念日らしい内容で、主人公は最期に時空を超えて、ひ孫と会って楽しい日々を過ごせたのかなと、少しだけホッとした気持ちになりました。
もちろん、戦争がなければ、それは夢ではなく現実だったんだろうにと思うと、悲しい気持ちにもなりましたけれど。

時間は短いけれど、なかなか充実した、いい番組でした。
見られて、よかったです。

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