在宅の仕事だとか、通販だとかの勧誘の電話が、時おりかかって来るのですが、そのたびに、なんとなく「こういう会社って、ステロタイプな発想しかしないんだなあ」と思います。
どうしてかというと、彼女たちはかならず私が出ると、「奥さんですか?」と尋ねるのですね。弟が出ると「ご主人様ですか?」と訊きます。
まあ、私は「奥さん」ではないので、そう答えると会話はそれで終わり、聞きたくもない話を聞かされたり、しつこく勧誘されるのを断ったりする手間がはぶけて、いいことはいいのです。
でも、切った後に、なんだかなあ……と思ってしまうのです。
たとえば、私の従姉は独身で、母親と二人でくらしています。
彼女の母親も働いてはいますが、稼ぎは従姉の方が多く、一応、母親が従姉の扶養家族という形になっているようです。実態はわかりませんが、たとえば、高額の買い物をする際の決定権は、従姉にあるのではないかと推測されます。
また、友人(女性)の中には、父親と二人ぐらしで、その介護をしながら商売をしている人もいます。彼女も、おそらく従姉と同じような感じだと思われます。
この二人は独身女性ですが、いわば一家の主的立場にあります。
けれども、おそらく勧誘の電話をかけて来る会社にとっては、彼女たちは「ご主人様」でも「奥さん」でもないがために、客の範囲外ということになるのでしょう。
もしかしたら、彼らがターゲットにしている「ご主人様」や「奥さん」よりもずっとお金を持っているかもしれないのに、です。
こう考えていくと、彼らは、自分たちのステロタイプな発想――夫婦と子供がいてこそ、一組の家族というそれを強固に持ち続けているがために、もしかしたら客になるかもしれない人々を取りこぼしていることになるわけです。
まあ、それはそれで、私なんかが心配することではないとは思いますが……。
ただ、なんとなく私がむかつくというか、溜息をつきたくなるのは、それなりに多様な生き方が認められつつある現代において、いまだに電話に出る大人は、女性ならば「奥さん=主婦(既婚の女性)」であり、男性ならば「ご主人=その家の主(既婚の男性)」と考えている会社(組織)が多数存在するということ。そして、一家の家計を握っていて高額の買い物についての決定権を持つのは、「一家の主=男性」だと考えている、ということです。
ところで、ふと思ったのですが、ああいう勧誘の電話をかけて来る女性の中には、たとえば独身で一人ぐらしの人や、従姉や友人のように、親と二人ぐらしで、自分が親を扶養しているという人はいないのでしょうか。
それとも、いても会社のステロタイプなマニュアルに対して、声を上げようとしないのでしょうか。
それとも……やっぱり世の中、昼間の電話に出るのは圧倒的に主婦かリストラされた旦那が多く、私たちがマイノリティなだけなんでしょうか。
もしもそうだとしても、人の家の家族構成にケチをつけるような電話応対だけは、やめてほしいと思います。
……というか、そういうのって、その会社にとって不利なだけだと思うのですが。少なくとも私は、まったく面識のない電話の相手から、不躾なことを根堀葉堀聞かれて、不快な気分にさせられたような会社と、たとえ少額であれ、なんらかの取引をしようとは思いません。そしてそれは、私だけではないはずです。
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