ドラマ『ぼくの夏休み』

 途中から「タイムスリップ」というキーワードに惹かれて見始めたこのドラマでしたが、最後は「ああ、なるほどな」という感じでした。
 見終わった直後は、「タイムスリップ」というSF的現象から私が想起していたのとはかなり違う最後だったこともあって、ハッピーエンドではあるけれど、なんか物足りないなあという感じでした。
 が、1日が過ぎて、ああでも、これでよかったのかなあとも思うようになりました。
 製作者の方たちがこのドラマで言いたかったのは、まさに最終回の、老人になった和也が口にしていた「何事もないことが幸せ」ということだったのではないのかなあと思うのです。
 今の日本には戦争もなく、治安も比較的良くて、誰もがある程度の生活を享受できる社会です。
 大人にとってももちろん、小学生の子供にとっては、戦争とか犯罪とか身近な人の生死なんて、それこそゲームの中の世界でしかないような、そんな社会でもあります。
 そんな時代に生まれ育って、それがあたりまえだと思って生きて来た小学生の兄妹を、戦時中へタイムスリップさせて、そこで改めて生きさせることで、なんというのか「生きることの大変さ」と「平凡であることの幸せ」を描こうとしたのではないのかなあと。
 まあ、青春編はあそこまでドロドロさせる必要、あったのかなあとは思いますが(笑)。
 でも、火事の中で2人が自分たちがこの時代に来たことについて語るシーンから、最後までの流れはとてもよかったし、ちゃんとそうしたテーマが描けていたのではないかと感じました。
 ところで。
 私がこのドラマを見始めた時に気になっていた、タイムスリップに関する部分ですが。
 ドラマでは描かれていなかったけれど……小学生の和也とはる菜は、一般的にはたぶん行方不明ですよね? だって、いきなり平成の世からは消えてしまったわけですから。
 昔で言うところの「神隠し」って状態だと思いますが……年取った2人は、両親に会いたいとか、そんなふうには思わなかったのかなあ。
 テーマはテーマとして、やっぱりそっち方面も気になってしまう私なのでした。

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